自然栽培は、子育てに似ていると誰かが言っていた。
余計なものは足さないで、土と作物の力を信じてそっと見守る。
自然がもつ治癒力と再生する循環の仕組みを信じて寄り添う。
ただそれだけのことだけど、なかなかむずかしい。
山の木や葉、野山の草花が自然に芽吹いては花咲き、
枯れて土となり、また次のいのちを紡いでいくように、
ヒトも、自然と調和しながら、じぶんと誰かのために
あぜらず、じっくり、ていねいに
食をつくることに喜びを感じて暮らしたい。
自然なものや行為は、自然がきちんと後始末をしてくれる。
肥料を与えれば「それは必要ないよ」と
代わりに虫が食べに来てくれる。
農薬を与えれば「それは不自然だよ」と
病気が腐らしてくれる。
ヒトが汚してしまった土は、大地に棲まう微生物たちが浄化して
元の状態に戻してくれる。
自然はとても正直。
自然はとても繊細。自然はよくできている。
昔の人々の暮らしには、自然と調和した生き方の法則があった。
『あの花が咲いたら種をまけばいいんだよ。』
『あの鳥が鳴いたら、畑を耕すといいよ。』
季節の移ろいや大地の声に耳を傾けながら、
生きていくために必要な知恵を自然から学びたい。
どんなに暮らしが便利で豊かになっても、
わたしたちが生きるために大事なことは、
健全な大地で健康な食をつくるということ。
大切なものは、常に足下にある。
繊細で優しく、生命力に満ちた自然栽培の作物は、
自然の恵みとは何かを、
命をつなげるということがどういうことかを
その味わいで語りかけてくれるような気がする。
わたしたちは、自然栽培とともに、ココロユタカな
農のある暮らしをつくり始めます。